レンズと焦点距離と倍率

正直知らなくてもいいと思うことです。でも、レンズ欲しいんです相談の時によく耳にするのが「大きく撮りたい」。大方、お店で相談すれば教えてくれると思いますが、知ってるもんだと思われてテレだワイドだ捲し立てられたらチンプンカンプン。


レンズを選ぶ際に重要な点が焦点距離倍率です。2点の関係は結構複雑なので話も前後することが多く、理解をするより使って知った方が早いです。借りるなり、コンデジで焦点距離を気にして見るなりして、一日使っていればすぐわかります。


知ってる人には当たり前すぎる話だし、カメラの本でもWEBサイトでも丁寧に書かれていることですが、そんなこんなで毎回説明を考えるのも面倒くさいので折角なのでまとめました。


焦点距離

焦点距離というのはレンズから合焦点までの距離。実際は合成焦点距離という多種多様なレンズが組み合わさった結果が対象の焦点距離になるようになってます。焦点距離200mmというのは中心線・実質200mm上で合焦するというイメージ。実際にレンズの長さが200mmあるわけではないです。ご存知、焦点距離が小さいほど広角(ワイド)に、大きいほど望遠(テレフォト)になります。


被写体に対してどれだけの焦点距離が必要かは被写体の大きさxセンサーの大きさ / 被写体までの距離で簡易ですが計算出来ます。「APS-Cで6mのものを10m遠から一杯に撮りたい!」って時は28mm…となんとなーくイメージできます。飽くまで参考で。


そして焦点距離についてくるのが画角です。


画角

焦点距離が長くなると画角が狭くなります。画角とは写す領域のことです。直線上に広がっていくもので、日常でも目に見えているものが画角そのものです。基本的に焦点位置が固定である限り、画角が小さくなると領域が狭まります。領域を狭くすれば写す範囲を小さく出来る、つまり求められる大きく写すということです。

APS-C 焦点距離 35mm(換算52mm相当)

画角を変えるという事はトリミングに似ています。細かい違い等は割愛しますが、大きく写すというよりも実際は狭い範囲を切り取っていると考えるとイメージが掴みやすくなると思います。覗いていると近くに寄せている感覚になってしまいそうですが、ただただ近づくのを手伝ってくれているわけではありません。


画角を気にすれば欲しいレンズが少しづつ見えてくるはずです。

一眼レフだと実際のレンズの画角が見えるのでわかりやすいですが、レンジファインダー機では画角に合わせたフレームが表示されています。この場合、外角が28mm相当・内側が40mm相当です。こういったカメラだと近くに寄せているのではなく、画角で切り取っているということが見えてきます。


余談

最近のレンズでは、ピント合わせが繰り出しではなくインナーフォーカス(繰り出すものをレトロフォーカス)というレンズが主流になっています。これにより、ピント位置によって表示されている撮影距離と実際の焦点距離に差があって、距離によっては大きく写せない(画角が広い)場合もあります(実焦点距離が一致するのは無限遠時のみ)。ほんにややこしいですね…。


変わって大きく写すですが、実際に見る必要があるのは倍率です。


倍率

「倍率が高いレンズ」というのはズーム倍率の事も言いますが、基本的にレンズ上での倍率というのは撮影倍率を指すことのほうが多いです。ズーム倍率は広角側から望遠側までの焦点距離の増減を指す倍率です。


10mmから100mmなら10倍ズーム倍率ということになります。1cmのものを10cmに写すってことではありません。これを勘違いしてしまうと、後の話のように失敗することになってしまいます。写せる被写体の大きさは撮影倍率というもので確認します。

撮影倍率はセンサーに対して被写体をどこまで大きく写せるかというもの。


レンズには1:3 / 0.33倍みたいに表記されています。1:3で言えば「直径3cmのものをセンサー上に直径1cmで写す事ができる」ということで0.33倍、これが倍率。マクロレンズというのは1:1 / 等倍のレンズになります。そして、レンズには最短撮影距離というものがあり、これがどこまで寄れるかということです。最短撮影距離時の倍率最大撮影倍率と言います。


レンズというものは最大撮影倍率以上に大きく写すことはできません。寄せられるわけではないです。ひとつの失敗ポイントです。近いものを大きく撮る時、いざズームだーと200mmまで伸ばしていくとピントが合わず「思っていたのと違うぅ!」とゲンナリします。200mmだろうが1000mmだろうが最大撮影倍率以上は大きく写せません。…1000mmとなれば倍率もぐんと寄ってきますが。


余談

インナーフォーカスの最大倍率時焦点距離が短くなります(倍率には影響なし)。

倍率を高くする方法としてはレンズを繰り出せれば可能です。


例えばエクステンションチューブという倍率アップ出来る便利アイテムがありますが、レンズを伸ばすことで、ワーキングディスタンス(レンズ前面から被写体までの距離)を短くして倍率を上げています。つまり寄るという状態です。マクロ切り替えが付いている古いズームレンズなどがわかりやすいです。


ただエクステンションチューブはレンズ自体の繰り出しを伸ばすわけじゃないので、遠距離での撮影が出来なくなります。


ぶっちゃけ本当に知らなくても良いこと

ここまでツラツラと書きましたが、実際は見えてるものを写すだけのこと。知らなくたって写真は撮れます。そこまで気にすることでは無いと思います。ただ、先入観を捨てないと失敗する可能性もあります。安い買い物ではないですからね。先入観があると後々になって、特にズームレンズの使い方にも影響が出てきます。


基本的に

  • 焦点距離は撮影の際に切り取る大きさ(画角)を決めるもの
  • 倍率は被写体を写す大きさを決めるもの

私はこの2つでレンズを勧めてます。例えばズームレンズはただ拡大するためのレンズではなく、画角を変動させるレンズです。拡大用と思っていると気付けばテレ端ばかりになってしまったり。そうではなく28-70mmなら50mm、70-200mmなら135mmと真ん中あたりに焦点距離を設定して、焦点距離を前後してみることで新しい画が見えてくると思います。レンズ自体も意外とそう設計されていて、中心値の時が一番性能が良いレンズが多いです。

もはや大砲。シグマのウルトラ望遠ズームレンズ : ギズモード・ジャパンhttp://www.gizmodo.jp/2014/07/post_14927.html


望遠中心な話でしたが、実際は焦点距離200mm / 倍率0.2倍程度あれば困ることはないはずです。更に超望遠とかであれば比例して倍率も上がっていきますので問題ありません。広角は…選ぶのが難しいです。これこそ目で見ないとわかりません。超広角までいけば見たこともない世界が広がります。かと言って広いから良いというわけでもありません。


いっぱい試して、用途に合ったレンズを探してみるのも楽しいです。しかし余り溺れるとろくな事になりません。私はそのひとりです\(^o^)/ハマりすぎない程度に楽しみましょう。お金があるならガンガン買ってください。迷ったら高倍率ズームもいいと思います。簡易マクロ機能もついていたりと本当に便利です。タムロンやシグマ製であればさほど高い買い物にはなりません。


「遠くのものを大きく撮りたいので望遠が欲しい」

大丈夫です。200mmで十分撮れます。


「10m先のカブトムシを大きくで撮りたい」

sigmaの1000mm買ってください(適当)。


「動きたく無いよぅ」をレンズは助けてくれません。最後は足です。遠くに撮りたいものがあるからとズームを回しきって構える前に、一度出来る限り近づいてみてください。スマホで撮影している時は勝手に足で調整しているはずですから。一緒なんです。今の時代なら体が自然と覚えているはずです。

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